教育長あいさつ ~「生きる力」を磨き深める~
教育長 山西 正泰
教育という崇高な営みは、常に、目の前の子どもをどう育てたいかという明確な見通し(ビジョン)をもって臨む必要があり、そこには、確かな教育哲学・教育理念(フィロソフィー)がなくてはならないという信念は、1期目の就任以来一貫したものです。私の教育哲学は、「教育は生きる力を磨き深めることでなければならない」という理念にあります。そのためには、「子どもを大事にした教育活動」を展開しなければならないと考えています。
そして、この豊橋で教育を受けた子どもが親になったとき、自分の子どもにも豊橋で教育を受けさせたい、と思えるような教育施策を構想し、展開してまいります。
2期目は、就任した年度末に、コロナウイルスの世界的な感染拡大によって、臨時休業措置を始めとして、教育活動がかなり制約されました。そのような状況にあっても、「子どもたちの学びを止めるわけにはいかない」、「今やれる最善の方法を考えて進めていく」という教育委員会内での共通認識のもと、さまざまな施策を進めてまいりました。
その一つが新たな3学期制の導入です。基礎・充実・発展で子どもの学びを評価するようにしました。また、とよはし版GIGAスクールを進め、タブレットを一人一台貸与し、家庭とのオンライン授業を可能にしたことで、本市の進める学習方法である問題解決的な学習の幅が広がり始めています。さらに、本市において何十年と慣れ親しんできた小学校の部活動を廃止しました。これは、子どものためには、教師は自らの時間を削ってでも尽くすべきという風潮を見直すための改革です。教師の本来業務は授業です。専門性を発揮し、子どもたちが楽しいと感じる授業を創るために限られた時間を使うべきです。小学校の部活動には幕を下ろしましたが、放課後の新たな学びの場として、のびるんdeスクールを立ち上げました。ここには、教育課程内にとらわれない多彩な学びや人との関わりがあります。これによって、教師の働き方と、子どもの放課後の過ごし方に大きな変革をもたらすことができたと感じています。
子どもにとって最大の教育環境は、「人」です。子どもが、生きる力を磨き深めながら成長していくためには、子どもの伸びようとする芽を見取り、常に寄り添い、そっと背中を押す教師が不可欠です。もちろん、家庭や家族の存在が生活の基盤ではありますが、さまざまな事情でそれがかなわない子どももいます。そんなときは、温かく包み込む地域の人々の存在が欠かせません。多くの可能性をもった子どもたちが、よりよい教育環境の中で、健やかに育ち、自分の夢に向かって成長していってくれることを願ってやみません。
あらゆるものが加速度的に進化し、価値観も多様化する今日にあって、何も変えないことは後退しているとの認識が必要だと考えます。したがいまして、3期目にも「不易」のものは堅持し、「流行」のものは、時代に合うよう改善を図りながら、子どもたちを取り巻く教育環境のいっそうの充実に向け、教育委員会の英知を結集し、全力で取り組んでまいりたいと思います。
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