ハトにエサを与えることは、ほほえましく、小さな生き物への思いやりがうかがえます。しかし、人がハトにエサを与えると、自然の生態系での生息数よりも過剰に繁殖し、想像もできないほどに増えてしまいます。
ハトは本来、雑草や樹木の種子・芽などを食べる動物です。こういったものを食べている間は、エサの量に限りがあり、ハトが過剰に繁殖することは、ほとんどありません。
善意とはいえ、人がエサを与えたことで、生態系や人に直接的な被害をもたらすことになります。その結果、有害な鳥獣として扱わざるを得なくなることは、人間にとっても動物にとっても不幸なことではないでしょうか。
ハトはどんな鳥
ここでいうハトは飼い主のいない野生のハトで、ドバトと呼ばれるものです。ドバトは群れで行動し、雨の降り込まない棚状の場所にねぐらや巣を作ります。1年中繁殖し、何度も産卵を繰り返します。
ハトによる被害
公園や道路がフンや羽毛で汚れ、遊んだり、くつろいだりできなくなります。ハトがベランダや建物のすきま等に巣を作ると、巣の周辺は汚れ、ダニやハエが発生します。
被害の防止対策
- エサを与えない
ハトにエサを与えると、その近辺に巣を作って繁殖します。またハトを近寄らせないために清掃をこまめに行い、エサになるものを除去しましょう。
- 巣を作らせない
家の軒下やベランダなどに巣作りの形跡がないか、日頃から注意しましょう。作りかけの巣を見かけたら、速やかに巣を取り除きましょう。
ハトのためにもエサをあげないで
ハトにエサをあげると、数が増える、人を恐れなくなる、ハトが自力で生きられなくなる、被害を与えて嫌われるといった問題が発生します。ハトによる被害を受けている場所では、建物や施設の管理者がやむを得ず、専門業者にハトの駆除を依頼し、処分することもあります。ハトにエサを与えることは、必ずしもハトの保護には繋がりません。
皆さまにお願い
野生鳥獣の本当の保護とは、人はむやみに野生鳥獣に近づかないことです。当然、エサを与えることも生態系を乱す原因となります。野生の生き物を大切にするのであれば、エサを与えず静かに見守ってください。