豊橋の静かな遊び心(加藤 祐一郎)
豊橋駅前に、市電通りを挟み一直線に並ぶビル群がある。
歩いてみるとビルの屋上に不思議なものがあることに気がついた。
屋上にちらっと見える現代芸術のオブジェの様なもの、幾何学の立体、
いつまでも発射しないスペースシャトル・・・。
静かに存在を主張する用途不明の人工物たちに遊び心をくすぐられてしまった。
あそこまで登って思いっきり自由に過ごしてみたい。
あれに洗濯物をダイナミックに干した後、
空を見つめ遠い喧騒を耳に飲むコーヒーは美味しいだろうな。
もうシャッターが降りてしまったレトロなビルの屋上に今はどんな世界があるのだろう。
子どもの頃、親より大きな箪笥の上に世界を想像したように、
身近なのに辿り着けない屋上へ思いを馳せる。
いつか建物と一緒に消えてしまうその前に、
自分の感性と出会える豊橋を見つけていきたい。
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