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汐川干潟保全基本指針 第6章
汐川干潟保全基本指針 第6章

6.汐川干潟の保全にむけて

1.基本方針

人と自然が共生する汐川干潟
汐川干潟は、社会経済の活力が高い集水域と臨海域の間に位置し、水質や底質に課題があるものの貴重な動植物相が形作られており、釣り、自然、観察、散歩などを楽しみに訪れる人も少なくありません。このような汐川干潟の自然環境について、多くの地域住民は保全が重要と考えており、特に10歳代から40歳代の比較的若い世代でこの意識が高く、今後さらに保全に対する関心は広まっていくものと予想されます。
一方、干潟の後背地は、市街地や農用地などを含む広い集水域を抱え、干潟はこれらの排水を支えるとともに水害から都市や農地を守るという社会的にも重要な役割も担っています。また、集水域は農業生産や都市機能の拡充について、今後とも推進する必要がある地域です。
 したがって、汐川干潟は、集水域における人の営みと干潟における生き物の営みとが将来にわたり確保され、地域住民がこの自然環境を誇りに思うことができる形で保全されることが望ましいと考えます。以上から、豊橋市と田原市は、「人と自然が共生する汐川干潟」を基本方針として汐川干潟の保全を進め、各々の市の施策に反映させていくとともに共同して保全活動を推進していくこととします。
図22 住民アンケート結果
汐川干潟の保全に関する考え方
住民アンケート結果 汐川干潟の保全に対する考え方

2.保全目標

  1. 水がきれいで、ごみがない健全な干潟
  2. いろいろな生き物が生育生息できる干潟
  3. 人と地域が安心して関わりあえる干潟
地域住民の多くは、汐川干潟の自然環境を保全するにあたり、河川と海の水質を良くすること、貝やカニ・ヨシ原など干潟の生き物の生息環境を良くすること、景観をきれいな状態(ごみがない等)にすることが大切と考えています。同時に、釣りや自然観察などの余暇活動や、高潮や大雨から地域を守る防災・排水対策などについても確保する必要があるとしています。これらを踏まえ、豊橋市と田原市は基本方針に基づく汐川干潟の保全目標として、以上の三つを掲げることとします。

図23 住民アンケート結果
汐川干潟の自然環境保全について大切と考える事項
住民アンケート結果 汐川干潟の自然環境保全について大切と考える事項
図24 住民アンケート結果
汐川干潟の利用について大切と考える事項
住民アンケート結果 汐川干潟の利用について大切と考える事項

3.取組方向

  1. 干潟の自然に関する情報を集め提供する
  2. 生き物と干潟の仕組みに関する教育を進める
  3. 水質改善や環境美化に役立つ自発的な活動を促す
  4. 保全活動と地域防災を支える環境の整備に努める
  5. 豊橋市と田原市とが干潟の保全のために連携する
干潟の保全には、行政をはじめ地域住民並びに事業者の方々が汐川干潟の自然環境に対して理解を深めていただくことが大切です。そのうえで、各々の活動や事業の中で、水環境に対する負荷を低減するなど、干潟の環境保全に配慮した取り組みが定着していくことが望まれます。
一方で、このような地域ぐるみの保全活動は、地域社会の健全な発展により支えられるものであるため、防災対策、生活環境の整備、農業の振興など基本的な都市施策についても着実に進めなければなりません。その中で、集水域においては河川の水質浄化に、干潟においては排水を確保し底質をより良い状態に保つことに努める必要があります。
 そして、健全な生態系を維持、あるいは回復し、自然と人間との共生を確保するための拠点づくりを推進していくものです。
 そこで、豊橋市と田原市は、基本方針に基づく保全目標の達成に向けて、五つの取組方向を定めました。これらは、干潟のことを理解する、保全に取り組む、環境を整えるなど、干潟の環境保全配慮を推進していくための方向性を示すもので、具体的な保全に向けた基本施策につながるものです。また、両市は干潟保全の連携を密にしながら必要に応じて共同事業や保全活動を進めることとします。

4.保全に向けた基本施策

干潟は、陸域からの流れ込みと潮の干満により、長い時間をかけて作られた独特な自然です。現在の汐川干潟も、底質や水質及び生物さらには人の印象や関わり方までが、この地域の地理的な条件と歴史的な経緯の中で培われてきたと思われます。
  このような長期の蓄積がある自然を保全するためには、時間をかけてでも、広く地域全体へ環境保全配慮の定着を促していくことが大切です。また、具体的な対応を要する課題については、施策の内容について十分に検討し効果的に行う必要があります。
  そこで、豊橋市と田原市は、先に示した取組方向により、地域住民並びに事業者の理解と協力を得ながら、保全のための基本施策を五つ掲げ着実に実施していくこととします。
1.情報提供施策
 汐川干潟の生物目録や河川の水質測定結果など自然に関する基礎的な情報、生活排水対策や合併処理浄化槽補助制度など水質浄化を促す情報、自然観察など適正な利用を啓発する情報といった、汐川干潟の保全に役立つ各種の情報を提供します。
●施策例 汐川干潟保全ホームページ(豊橋市・田原市)、図書館環境情報コーナー(田原市)
2.教育推進施策
 一般の方やこども達に対して、汐川干潟に触れることができる機会を提供し、干潟の生き物のことや水質を浄化する働きについて学んだり、干潟の遊びを体験したりすることで、汐川干潟の保全の担い手を育成します。
●施策例 自然観察会(豊橋市・田原市)、干潟環境講座(田原市)

3.活動促進施策
 河川流域の単位で、水質浄化の啓発や美化清掃など、一般の方から事業者までが参加できる地域ぐるみの活動を促進します。
●施策例 汐川クリーン作戦(田原市)、紙田川530大会(豊橋市)

4.環境整備施策
豊橋市と田原市の上位計画と整合性を図り、汐川干潟の周辺に計画する公共施設の活用を視野に入れ、保全活動を支援する機能の整備に努めます。また、集水域の地域振興を図りながら環境保全施策を促進し水質浄化に努め、併せて、地域防災を確保するため、干潟の生態系に配慮した澪の浚渫についての検討を行います。
●計画例 ネイチャーセンターネットワーク計画(豊橋市)、干潟保全整備の推進(田原市)・仮称)干潟自然トレール ・自然共生方の汐川澪整備促進、環境保全型農業の推進(豊橋市、田原市)、河川浄化対策の推進(豊橋市・田原市)・公共下水道など排水対策事業の推進・合併処理浄化槽設置補助制度の推進
5.両市連携施策
 豊橋市と田原市が、共同して施策を実施したり、各々の市で行う施策を相互に調整するなど、汐川干潟全体の保全を効果的に進めることができる仕組みを整えます。
●施策例 汐川干潟保全連絡会(豊橋市・田原市)

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