日本の近代水道は、1887年(明治20年)10月17日に通水した横浜市の水道に始まります。この水道は江戸末期から明治初期にかけて外国との貿易が活発化した反面 、コレラ・チフスなどの伝染病が全国的に大流行したことに対処してつくられました。
1883年(明治16年)イギリス人パーマーの手で水道調査が始められ、鋳鉄管・ポンプ・ろ過池などの近代技術を用いた連続給水の有圧水道として、我国最初のものでした。その後、函館市・長崎市・大阪市・東京市・広島市・神戸市・岡山市・下関市など、開港都市を中心として全国各地に近代式水道が布設され、明治の末期には、全国で23水道、普及率8.4%となり、1925年(大正14年)には106水道、普及率20.7%に達しました。
一方豊橋市では、1906年(明治39年)8月1日の市制施行時の人口は、3万7,635人でしたが、それ以降交通 の要衝としての優れた地理的条件も手伝って、陸軍第15師団の誘致、工業の発達、さらに大正3年勃発の第一次世界大戦の好況等を背景として年々増加を続け、大戦が終わった1919年(大正8年)には6万6,844人となり、成長を続けていました。しかし、その一方で飲料水として井戸水を使用していたため、人口の増加により水質の悪化及び水の枯渇をまねき、赤痢・腸チフス等の伝染病による死亡率は、大阪・名古屋・東京などの上下水道の完備している都市に比べて高く、上下水道を含めた都市施設の整備が急務となっていきました。
以上のような時代背景を受けて計画立案された豊橋市の一般用水道は、1927年(昭和2年)に着工し、2年9か月に及ぶ大規模な工事を経て、1930年(昭和5年)3月29日に通 水式が行われ市域への給水が開始されました。豊川の河床伏流水を水源として、浄水場と給水所は多米に設置され、計画給水人口12万人、市民1人1日最大112リットル、将来の人口増加を見込んで16万人の給水能力を持つものでした。
その後、第一次の拡張事業を実施しましたが、第二次世界大戦による1945年(昭和20年)の空襲により、市街地の配水管等は壊滅的な打撃を受けました。しかしながら、市民・市当局一体となって近代都市再建に立ち上がった豊橋市は、戦災復興事業、水源施設・浄水場等の増補改良事業により戦前にも勝る復興を成し遂げることができました。そして、1952年(昭和27年)からは6次に及ぶ拡張事業を実施し、1970年(昭和45 年)からは市勢の発展に伴う水需要の増加に対応するため、愛知県営水道から供給を受けていますが、現在でも、豊橋市の水源として創設時の豊川の伏流水はもとより、飯村町高山の表流水を始め、下条給水所・南栄給水所などでは地下水を水源として給水しています。
また、平成9年度から第8次拡張事業として、7か年計画で安定給水の確保・水資源の有効活用を図るため、更なる自己水源の確保に努めると共に、耐震を考慮した配水管網の整備、配水池の増設等を実施し、安全・安心な給水の充実に努めた結果、平成23年度末の普及率は 99.36%となり、現在はこれまでの「建設・拡張」から「適正な維持管理」の時代へと移行しています。
沿革
年 |
事項 |
大正15年 |
水道給水条例制定
内務大臣より水道布設認可 |
昭和2年 |
上水道工事起工式 |
5年 |
上水道工事竣工式(通水式) |
6年 |
下水道工事認可 |
7年 |
給水条例の改正(料金分納)
給水料金の分納制実施
新料金体制実施
第1次拡張工事事業認可 |
8年 |
第1次拡張工事着手 |
9年 |
第1次拡張工事完成 |
10年 |
上水、下水道事務の一体化 |
11年 |
下水道竣工式 |
20年 |
第2次世界大戦により焼失 |
21年 |
上水道戦災復興事業起工式 |
24年 |
用途別料金体制実施
上水道増補改良事業起工式 |
25年 |
上水道増補改良事業完成 |
27年 |
第2次拡張事業認可
第2次拡張事業着手
地方公営企業法制定
水道局発足 |
28年 |
水道事業地方公営企業法適用 |
31年 |
第2次拡張事業変更認可 (5か年から9か年に変更) |
32年 |
上水道戦災復興事業完成
水道法制定 |
33年 |
豊川用水事業宇連ダム工事完成 |
34年 |
第2次拡張事業完成 |
36年 |
第3次拡張事業認可 |
36年 |
第3次拡張事業着手
豊川用水事業大野頭首工並びに大野導水路完成 |
38年 |
第4次拡張事業認可 |
39年 |
第4次拡張事業着手
メーター検針業務委託 |
40年 |
水道料金徴収業務委託 |
41年 |
第3次拡張事業完成
水道料金調定、消込業務電算委託 |
42年 |
牛川浄水場(現 県豊橋浄水場)通 水開始 |
43年 |
分担金制度実施
豊川用水事業全面通水 |
45年 |
第4次拡張事業変更認可
牛川浄水場施設及び豊川用水共用施設を県へ移管 |
47年 |
水道局、東松山町へ移転
下水道事業、水道局より分離 |
48年 |
口径別水道料金体系実施
水道料金改定(平均23.13%) |
49年 |
検針、集金業務の隔月化実施 |
50年 |
小池給水所を小鷹野浄水場にて遠方監視 |
51年 |
加入金制度採用(旧分担金)
水道料金改定(平均69.69%) |
52年 |
第5次拡張事業認可
第5次拡張事業着手 |
53年 |
第4次拡張事業完成 |
54年 |
第5次拡張事業変更認可
下条第二給水所(現 下条給水所)給水開始 |
55年 |
北部配水場通水開始 |
56年 |
水道料金改定(平均38.75%)
南部配水場通水開始 |
57年 |
大村給水所廃止(下地給水所へ統合)
下条給水所廃止(下条第二給水所へ統合) |
58年 |
第5次拡張事業完成
第6次拡張事業認可
第6次拡張事業着手
下地給水所を小鷹野浄水場にて遠方監視 |
59年 |
水道料金改定(平均16.56%)
豊橋市豊南、五並公営簡易水道を上水道に統合 |
62年 |
南栄給水所を小鷹野浄水場にて遠方監視 |
平成元年 |
水道料金、加入金改定(消費税相当分3%) |
2年 |
第6次拡張事業完成
第7次拡張事業認可
第7次拡張事業着手 |
3年 |
老津給水所改築
東高田給水所改築
水道局、牛川町へ移転 |
9年 |
豊清給水所改築
第8次拡張事業認可
第7次拡張事業完成
水道料金、加入金改定 (消費税相当分3%→5%)
第8次拡張事業着手
多米配水場加圧設備稼働 |
10年 |
小鷹野浄水場増補改良工事着手 |
11年 |
池上給水所改築
下条取水場増補改良工事着手 |
12年 |
小沢給水所を小鷹野浄水場にて遠方監視 |
13年 |
水道局、下水道局を上下水道局に統合 |
15年 |
高山配水場2号配水池運転開始 |
16年 |
第8次拡張事業完成・拡張終了
水道施設整備事業着手(~平成22年度)
第5期配水管整備事業着手(~平成22年度)
南部配水場2号配水池運転開始 |
18年 |
上下水道事業中期経営計画策定 |
20年 |
第1次整備(変更認可) |
21年 |
上下水道事業中期経営計画(改訂版)策定 |
22年 |
第1次整備(変更届出) |
23年 |
上下水道ビジョン策定
第2期水道施設整備事業着手
第6期配水管整備事業着手 |
24年 |
北部配水塔運転開始 |
25年 |
豊橋市伊古部簡易水道を上水道に統合
第2期整備(変更認可)
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26年 |
改定後の地方公営企業会計基準を適用
水道料金、加入金改定(消費税相当分5%→8%)
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28年 |
第2期水道施設整備事業(後期)着手
第7期配水管整備事業着手
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29年 |
小鷹野浄水場水質試験棟運用開始
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31年 |
小鷹野浄水場、水道GLP認定取得 |
令和元年 |
水道料金、加入金改定(消費税相当分8%→10%) |
2年 |
伊古部給水所給水開始
東部配水場(5,000m3)運転開始
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上下水道局総務課 財務グループ
電話番号:0532-51-2706
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