景観重要建造物と景観重要樹木とは
歴史、文化の一端を表現する建造物や地域のシンボルとなっている樹木などは、景観に深みと個性をもたらすとともに、地域の景観を特徴づける重要な役割を果たします。景観法では、こうした景観上重要な資源を景観重要建造物や景観重要樹木として指定することができます。
景観重要建造物は、歴史的又は文化的価値の高さを問うものでなく、地域の良好な景観形成の核として、その保全と継承を図る観点から指定するものです。このため、建築年代は比較的新しくても、その外観が地域の景観形成において重要である建造物で要件を持ったものを指定の対象にします。
また、景観重要樹木は、学術的な価値の高さを問うものではなく、地域の良好な景観形成の核として、その保全と継承を図る観点から視点するものです。このため、学術上の価値を有していない樹木であっても、その外観が地域の景観形成において重要である樹木で要件を持ったものを指定の対象とします。
本市では、次の基準を満たすものを、所有者の意見を聴き、指定していきます。
■ 景観重要建造物の指定基準
(1)以下のいずれかに該当し、地域の自然、歴史、文化、生活等からみて、建造物の外観が景観上の特徴
を有し、 本市内の良好な景観の形成に重要なものであること
・地域の景観のシンボルとなっている
・地域の歴史や文化を後世に伝えている
・地域の良好な景観形成の規範となるものである
・市民に親しまれ、愛されている
(2)道路その他の公共の場所から公衆によって容易に望見されるものであること |
■ 景観重要樹木の指定基準
(1)以下のいずれかに該当し、地域の自然、歴史、文化等からみて、樹容が景観上の特徴を有し、本市内
の良好な景観の形成に重要なものであること
・地域の景観のシンボルとなっている
・地域住民に大切に守られ、地域の誇りとなっている
(2)道路その他の公共の場所から公衆によって容易に望見されるものであること
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指定制度
景観重要建造物の指定物件
【第1号】豊橋市公会堂
- 指定年月日:令和4年3月20日
- 所 在 地:豊橋市八町通二丁目22
- 構造・規模:鉄筋コンクリート造 3階建て
本建造物は、路面電車の走る国道1号に面して建ち、ロマネスク様式を基調とし、様々な建築様式をとりいれて設計された近代建築です。正面には、2階に続く大階段や、連続アーチの列柱、半球ドームを頂く二つの塔が設けられるなど、堂々としたファサードをつくりあげています。また、市制施行25周年の記念建造物として昭和6(1931)年に建てられ、国の登録有形文化財にも登録されています。
【第2号】二川宿本陣
- 指定年月日:令和5年3月16日
- 所 在 地:豊橋市二川町字中町65番地、65番地の1一部
- 指定の範囲:建造物 7棟
●主屋棟
・主屋・玄関棟:木造平屋建て、切妻造、桟瓦葺き
・書院棟:木造平屋建て、入母屋造、桟瓦葺き
●土 蔵
・東土蔵・西土蔵:木造2階建て、切妻造、本瓦葺き
・鍬 蔵:木造平屋建て、切妻造、桟瓦葺き
●表 門
・表 門:木造平屋建て、切妻造、桟瓦葺き
本建造物は、江戸時代後期から東海道二川宿の本陣を勤めた馬場家の遺構で、改修復原工事により、本陣の建造物が最も整備された江戸時代末期の姿に復原したものです。旧東海道に面する主屋をはじめ、表門や土蔵など、7棟の建造物は、本陣としての格式の高い外観を有し、二川宿の景観の主役となっています。また、その歴史・学術上の価値の高さから、市の史跡に指定されています。
【第3号】旧旅籠屋「清明屋」
- 指定年月日:令和5年3月16日
- 所 在 地:豊橋市二川町字中町64番地の1
- 指定の範囲:建造物 4棟
●主 屋:木造2階建て、切妻造、桟瓦葺き、
●繋ぎの間・奥座敷・便所:木造平屋建て、切妻造、桟瓦葺き
本建造物は、江戸時代から明治初年まで一般庶民の宿である旅籠屋を営んだ倉橋家の遺構で、改修復原工事により、江戸時代末期の姿に復原したものです。主屋・繋ぎの間・奥座敷に便所からなる往時の一連の建物が保存され、江戸時代後期の当地域の典型的な旅籠屋の外観を有しています。また、その歴史・学術上の価値の高さから、市の有形文化財に指定されています。
【第4号】旧商家「駒屋」
- 指定年月日:令和5年3月16日
- 所 在 地:豊橋市二川町字新橋町21番地
- 指定の範囲:建造物 8棟
●主屋・南土蔵・中土蔵・北土蔵:木造2階建て、切妻造、桟瓦葺き
●脇 門:木造平屋建て、桟瓦葺き
●離れ座敷:木造平屋建て、寄棟造、桟瓦葺き
●茶室・北倉:木造平屋建て、切妻造、桟瓦葺き
本建造物は、江戸時代後期から大正時代に「駒屋」の屋号で商家を営んだ田村家の遺構で、改修復原工事により、当時の姿に復原したものです。主屋・脇門・離れ座敷・茶室・南土蔵・中土蔵・北土蔵・北倉の建物が保存され、江戸時代後期から大正時代の当地域の典型的な商家の外観を有しています。また、その歴史・学術上の価値の高さから、市の有形文化財に指定されています。
【第5号】豊橋市民俗資料収蔵室(旧多米小学校校舎)
- 指定年月日:令和6年3月13日
- 所 在 地:豊橋市多米町字滝ノ谷34番1の1
- 指定の範囲:建造物 2棟
●本棟(旧本校舎):木造平屋建て、切妻造、桟瓦葺き
●西棟(旧西校舎):木造平屋建て、切妻造、桟瓦葺き
本建造物は、小学校の校舎として建てられた建物で、市内に残る唯一の木造校舎です。東部丘陵の麓に立地し、山地の一部を整地した標高47m程の小高い場所に建っています。本棟は昭和19年に建築、西棟は昭和29年に増築され、現在は、市の民俗資料収蔵室として使われています。
昭和の懐かしい木造校舎の姿が良好に保存され、多米地区の歴史を物語るシンボル的な存在となっています。映画のロケ地や地域イベントの場としても利用され、地域住民には「古多米(ふるため)」と呼ばれ、市民に親しまれ、愛されています。また、その歴史・学術上の価値の高さから、国の登録有形文化財に登録されています。
【第6号】西駒屋
- 指定年月日:令和6年3月13日
- 所 在 地:豊橋市二川町字中町147番1
- 指定の範囲:建造物 3棟
●主屋:木造2階建て、切妻造、桟瓦葺き
●門 :木造平屋建て、桟瓦葺き
●離れ兼倉庫:木造2階建て、切妻造、桟瓦葺き
本建造物は、明治後期から近年まで西駒屋として醸造業を営んできた商家の建物で、現在は創業家の居宅として使われています。主屋、門、離れ兼倉庫は、それぞれの棟が特徴的な外観を有しており、地域の歴史や文化を後世に伝え、歴史的なまち並み景観形成の規範となっています。また、主屋は、二川宿の歴史的なまち並みの特徴である切妻平入の外観で、その歴史・学術上の価値の高さから、国の登録有形文化財に登録されています。
▲ 主屋 ▲ 門(左)・離れ兼倉庫(右)
景観重要樹木の指定物件
【第1号】野依八幡社のシダレザクラ
- 指定年月日:令和4年3月20日
- 所 在 地:豊橋市野依町字八幡1 野依八幡社境内
- 樹 種:シダレザクラ(バラ科サクラ属)
本樹木は、野依八幡社の境内にあり、美しい半球状の外形で、太い幹から枝が張り出し、地面に向かって流れるように枝が伸び、独特の趣を生み出しています。春になると淡いピンク色の花々が咲き誇り、その美しい姿は人々を魅了しています。また、推定樹齢300年以上のこの樹木は、市指定天然記念物やとよはし巨木・名木100選にも指定されています。
▲ 指定を喜ぶ地域の方々 ▲ 景観重要樹木の銘板(左)