地方自治体への寄附(ふるさと納税)に関する寄附金の控除の計算例(通常の場合)
※このページでは、寄附をした年の所得税と翌年度の市民税・県民税で控除が受けられる、通常の場合の計算例を扱っています。「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を利用した場合の計算例はこちらをご覧ください。
寄附金の控除の計算方法(平成27年中の寄附から適用)
豊橋太郎さんの場合
地方自治体への寄附 4万円
前年中の給与収入 700万円
社会保険料の支払い 70万円
扶養: 妻
子(高校生)
子(小学生)
豊橋太郎さんの今年度の市民税・県民税を計算します。
単位:円
給与収入 |
7,000,000
|
給与所得 |
5,200,000
|
総所得金額 |
5,200,000
|
社会保険料控除 |
700,000
|
配偶者控除 |
330,000
|
扶養控除(16歳未満)
|
0
|
扶養控除 |
330,000
|
基礎控除 |
430,000
|
控除合計 |
1,790,000
|
課税総所得金額 |
3,410,000
|
|
市民税 |
県民税 |
税率 |
6%
|
4%
|
所得割 |
204,600
|
136,400
|
調整控除 |
1,500
|
1,000
|
寄附金税額控除 |
20,473
|
13,649
|
所得割 |
182,600
|
121,700
|
均等割 |
3,000
|
1,500
|
年税額(市民税+県民税+森林環境税1,000)
|
309,800
|
豊橋太郎さんの寄附金税額控除の計算
1 控除の基礎となる金額を計算します
40,000円-2,000円=38,000円(2,000円を超えた部分について控除の対象となります。)
2 市民税・県民税での寄附金税額控除における基本控除額を計算します
市民税分:38,000円×6%(市民税の税率)=2,280円→A1
県民税分:38,000円×4%(県民税の税率)=1,520円→A2
3-1 特例控除額を計算するために、豊橋太郎さんの所得税と市民税・県民税の人的控除額の差の合計額を計算します
人的控除額 |
所得税 |
市民税・県民税 |
差 |
配偶者控除額 |
38万円 |
33万円 |
5万円 |
扶養控除額 |
38万円 |
33万円 |
5万円 |
基礎控除額 |
48万円 |
43万円 |
5万円 |
人的控除額の合計額 |
124万円 |
109万円 |
15万円 |
3-2 特例控除額を計算するために、市民税・県民税の総所得金額-市民税・県民税の控除合計-所得税と市民税・県民税の人的控除額の差の合計額(3-1)を計算します
5,200,000円-1,790,000円-150,000円=3,260,000円 特例控除額で計算するための率は10.21%となります。
3-3 寄附金税額控除の特例控除額を計算します
市民税分:38,000円 ×(90%-10.21%)×(5分の3)=18,193円
県民税分:38,000円 ×(90%-10.21%)×(5分の2)=12,129円
市民税分の特例控除額の限度額:(204,600円-1,500円)×20%=40,620円
県民税分の特例控除額の限度額:(136,400円-1,000円)×20%=27,080円
3-5 市民税分の特例控除額、県民税分の特例控除額を決定します
市民税の特例控除額:18,193円 < 40,620円で市民税の特例控除額の限度額を超えないため 18,193円となります→B1
県民税の特例控除額:12,129円 < 27,080円で県民税の特例控除額の限度額を超えないため 12,129円となります→B2
4 市民税・県民税における寄附金税額控除額を計算します
市民税分の控除額はA1+B1=20,473円
県民税分の控除額はA2+B2=13,649円
5 豊橋太郎さんの場合の寄附金の控除額について
20,473円(市民税)+13,649円(県民税)+3,880円(所得税)≒38,000円が寄附金の控除となります。(端数処理のため控除額は38,000円ちょうどにはなりません)
6 参考
豊橋太郎さんが地方自治体に対して寄附をする場合、いくらまでならば2千円を超える部分が全額控除されるかを考えます。
市民税・県民税の寄附金税額控除における特例控除額は、調整控除後の所得割額の2割が限度となっているので、「特例控除額=調整控除後の所得割額×20%」のとき、自己負担額2千円を超える部分が全額控除となる寄附金の限度額となります。
豊橋太郎さんの場合、3-4より市民税分と県民税分を合わせた特例控除額の限度額は、40,620円+27,080円=67,700円です。
寄附額をxとすると、次の計算式が成り立ちます。
(x-2,000)×(90%-10.21%)=67,700
これを解くと、x=86,847.72...となり、約86,000円までの寄附額であれば、寄附をした年の所得税と翌年度の市民税・県民税から自己負担額2千円を超える部分が全額控除されるということになります。