【ひとり親家庭向けの子育てコラム】
お二人目は、NPO法人グリーンパパプロジェクト代表理事であり、放課後児童クラブの運営も手掛ける吉田大樹さんが執筆されます。(8、9月の全2回)
<吉田大樹さんプロフィール>
1977年東京生まれ。3児のシングルファーザーであり、現在はNPO法人グリーンパパプロジェクト代表理事を務め、労働・子育てジャーナリストとして、執筆・講演等の活動をされています。
グリーンパパプロジェクトホームページ(外部サイト)
【ひとり親になって子育ての醍醐味を知る】
自分がひとり親になった2010年。長男が小1、長女と二男はまだ保育園児でした。2週間ぐらいは落ち込みましたが、日々をがむしゃらに生きようとしている3人の姿を見て、「いまは3人のことに集中しよう!」と気持ちを切り替えることができました。
とは言え、まだまだ手のかかる時期。自分の思い通りにはいきませんし、たぶん思い通りにいったことは、ほとんどありません。
朝はまず長男を7時に起こして、朝食や学校に行く準備、その後、保育園児2人を起こすのですが、ここからが本番です。
長男を送り出した後でも、なかなか起きないときもあれば、起きたとしても2人で争いを始めたり、こっちも思わず叱ってしまって2人とも大泣きなんてことも。こちらが発狂しそうな瞬間もたびたびありました。
朝食を食べるのに時間が掛かることもありましたし、食べ物をこぼしまくったりすることもありました。
二男は当時まだおむつをしていたので、保育園に行く前におむつ交換もしなければなりません。うんちも通常の形であればササっと対応はできますが、ドタバタのときに限ってゆる~いうんちだったりして、朝から目の前が真っ暗に感じたことも・・・。
なんとか準備をし終えて保育園に向かうまでの約1時間は、本当に親としても鍛えられた日々だったと思います。2人を保育園に送り届けて、保育園の門を閉めた瞬間に思ったことは、もはや「今日1日終わったな・・・」という実感。「いやいや、これから生活のための仕事が待っていますよ!」
仕事は仕事でちゃんとやっているつもりでしたが、エネルギーを使うところは、やっぱり朝と夜の子どもたちの対応でした。
当時は、埼玉から1時間かけて都内まで出勤していました。朝の子どもたちの対応で、会社の出勤時間にはとてもじゃないけど間に合わないので、会社には現在自分が置かれている状況を包み隠さず話し、出勤時間を遅らせてもらいました。
また、帰りも19時までに保育園と放課後児童クラブに迎えに行かないといけないので、残業もできなくなりました。当然、その分残業代がもらえなくなるので収入が減ることに。ここはしんどかったですね。
家に帰ってからも戦いが待っています。食材がないときはその前に買い物をしてから帰らねばなりませんし、それから夕飯を作って片付けもし、子どもたちをお風呂に入れて、21時半には寝かすという目標を立てて、毎日なんとか必死でこなしていました。
子どもたちが起きているときはアドレナリン出まくりで、かなり疲労をしていますので、子どもたちと一緒に眠ることになります。自分のやりたいことは多少捨てても、心身ともにリフレッシュさせるためには、それが結果としてよかったのだと思います。
ひとり親の方々の中には、かなり睡眠時間を削って対応している方もいます。自分が一番恐れていたのは、自分が無理をしすぎて身体を壊してしまったら、「3人の子どもたちはどうなってしまうのだろう?」ということです。
金銭的なしんどさはありましたが、「まず無理はしない」は自分にとっての合言葉みたいなものでした。
現在、あらためて当時を振り返ってみると、本当によくやっていたなと思います。しかし実は、漠然とした記憶しか残っていません。こんなにも怒涛な日々だと、人は記憶を無くすのだと学びました。同時に、「もしかしたら子育ての醍醐味ってそこじゃないか」とも思います。
そんな日々を送る中で、自分がどうやってこの日々を乗り切れたのか、次回掘り下げてみたいと思います。
(吉田 大樹)