※令和5年5月26日に「サル痘」から「エムポックス」に感染症法上の名称が変更されました。
エムポックスは、ポックスウイルス科オルソポックスウイルス属のエムポックスウイルスによる感染症です。オルソポックスウイルス属には、他に天然痘ウイルス等が含まれています。
1970年にヒトでの感染が確認されて以来、アフリカの一部の地域で流行していましたが、2022年5月以降、欧州や北米等で報告が相次ぎ、世界保健機関(WHO)は感染の拡大が続いているとして2022年7月23日に「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を宣言しました。
日本では、感染症の予防及び感染者の患者に対する医療に関する法律(感染症法)において4類感染症に位置付けられており、集計が開始された2003年以降、患者の報告はありませんでしたが2022年7月25日に東京都で国内初の感染者が確認されました。以降、散発的に発生が報告されていましたが、2023年に入り、報告が増加しています。
おすすめリンク
NPO法人「ぷれいす東京」さんがサル痘情報のリンク集を作成しています。
mpox(サル痘)情報リンク(ぷれいす東京)
上記リンク先にある、MPOX GUIDE BOOKも是非ご一読ください。
感染経路
- 患者の皮膚・体液・血液との接触(性的接触を含む。2022年以降の欧米を中心とした感染の拡大は、性的接触による感染が全体の約7割程度とされています)
- 患者と接近した対面での飛沫への長時間暴露
- 患者が使用した寝具やタオル等との接触
- リス等のげっ歯類をはじめ、サルやウサギ等のエムポックスウイルスに感染した動物との接触
症状
- 潜伏期間は5~21日(通常6~13日)であり、潜伏期間の後、発熱、頭痛、リンパ節腫脹、筋肉痛などが0~5日続き、発熱1~3日後に発疹が顔や手足を中心に出現します。発疹は徐々に膨れ上がり、水ぶくれ、かさぶたとなります。
- 2022年以降の流行では、発疹が性器・肛門周囲や口腔などに集中しており、全身の発疹が見られない場合があります。また、発熱などの前駆症状が見られない場合もあります。
- 通常は、発症から2~4週間症状が持続し自然軽快しますが、小児例や患者が免疫不全の場合等には重症化することもあります。
- 全ての発疹がかさぶたとなり、全てのかさぶたが剥がれ落ちてなくなるまでは、周囲のヒトや動物に感染させる可能性があります。
- 水ぼうそうなどの、他の発疹を生じる病気との区別が難しいことがあります。
治療
対症療法が行われます。
予防方法
- 流行地では感受性のある動物や感染者との接触を避けることが大切です。
- 患者等が使用したリネン類や衣類に触れるときは、手袋などを着用して直接的な接触をさけ、触れた後の手洗いが大切です。
- 天然痘ワクチンが有効であるとの報告がされています(日本では1976年以降天然痘ワクチンの接種は行われていません)。
エムポックスを疑う症状があったときには?
- エムポックスを疑う症状が見られた場合、かかりつけ医に相談してください。かかりつけ医がいない場合には、下記の保健所連絡先までご相談ください。
- 受診の際は、自家用車等の他人との接触をなるべく避けることのできる交通手段を用いるか、やむを得ず公共交通機関を利用する場合は、マスクの着用や発疹部位をガーゼでおおう等の対策をしてください。また、比較的空いている時間帯やスペースを選ぶなど、他人との接触を避けるよう行動してください。
関連情報(詳細な情報は下記のリンク先をご覧ください)
エムポックスについて(厚生労働省)
エムポックスとは(国立感染症研究所)
エムポックス患者とエムポックス疑い例への感染予防策(国立感染症研究所)
サル痘(Mpox) 啓発資料(国立国際医療研究センター)